
地しょうゆ北播磨【百周年記念醤油】
兵庫県は神戸の北、丹波の南に位置し、播磨地区の中でもやや北東に当たるのが北播磨地区です。
そして、そのほぼ中央からやや西に位置するのが今回の醤油が作られる加西市です。
兵庫県の中でもほぼ真ん中に位置する加西市には、のどかで豊かな田園地帯を走る国鉄系のキハ40系気動車でおなじみの北条鉄道があり、鉄道ファンにも知られた地域です。
播磨地区を含む播州に住む友人に聞いたところ、「加西の名物はブドウと山田錦、ニンニク、トマトだよ」とのこと。今回は、そんな加西市の醤油をご紹介します。
播州織の産地であったこの地域は、九州地方から働きに来る人が多かったためか、昔から甘めの味付けが好まれたそうです。
その影響で、醤油も甘めの味付けとなり、旨みとしてアミノ酸を加える九州の醤油に似た味わいになったという由来があるそうです。
そんな甘めの味を好む人が多いこの地域には、昭和時代には多くの醤油醸造元があったそうですが、現在は全国的にそうであるように、だんだんとその数を減らしているとのことです。
さて、今回ご紹介するのは、
そんな加西市にある高橋醤油さんの「地しょうゆ北播磨」。
1921年(大正10年)に創業した高橋醤油さんは、「サクライズミ」という愛称で近隣の家庭へ配達するという昔ながらのスタイルを今も続けている醤油屋さんです。
今回の「地しょうゆ北播磨」は、高橋醤油さんの百周年を記念した特別な醤油です。北播磨の食文化を多くの方に伝えたいという思いが込められたこの醤油を、さっそく味わってみましょう。

小皿に注いでみると、赤い美しい色合いであることがよく分かります。透明感のある印象ですね。
口に含むと、柔らかく”じわっと” 広がる旨みが特徴的です。
やや甘みを感じる味わいですが、九州の甘口醤油のように、しっくりと深く甘いというわけではありません。
味わいは口の中のやや上のほうで感じられ、重みがあってズーンとくるというよりは、軽快な印象のため、漬けかけから調理までとても使いやすい印象でした。コクがないというわけではないため、お醤油をつけ焼きにする料理や、煮物などの和食にもきっと合うだろうなと感じました。
バランスが良く使いやすい、そんな使う人のことを思って作られた醤油には、高橋醤油さんの百年の歴史が詰まっているのかもしれません。
では実際に料理に使った記録たちです。


播磨地方の中で北播磨の南に位置する東播磨には明石があります。明石といえば、蛸が有名ですが、鯛も有名です。今回の「地しょうゆ北播磨」はやや軽めの印象もあるため、白身の刺身とも相性は抜群。明石の鯛にはこちらをセレクトするもの良いかと思います。
焼いたマグロのカマにしょうゆを垂らして頂きましたが、こちらも美味でした。マグロでは焼いたほうが相性は良いように感じます。


やはり作らないといけない明石といえばの蛸料理。
ゆっくりじっくり煮付けた蛸の煮付けは味も食感も柔らかく、幸せな気分となれました。
多めに作った煮付けの半分はやはりたこ飯に。
なんでたこ飯ってこんなに美味しいのでしょうか、、、。


先に書いたように山田錦の米粉を入手したので、こちらを使っていくつか作ってみました。焼き小籠包は皮に米粉を使い具の調味にお醤油を使いました。そして加西市のにんにくも刻んで入れました。
にんにく団子は揚げてしょうゆをかけていただきます。中身はホクホク。
どちらも食感面白さと味わいの美味しさは言う事無しでした。


わりとよく行く魚屋さんに丸の穴子が売っているのですが、かなり高い割合で兵庫産のものなんですよね。やはり全国でも名高い明石産穴子。ここも外すわけにはいかないでしょう。焼き穴子にはわさびたっぷり。醤油はちょこっと。これも美味。酒持ってこーい!
ナスと肉を挟んで焼いたものは、ややアジア風なアレンジで。
パクチーにナッツ、醤油はには砂糖と酢、唐辛子などをプラスして頂きました。こちらも全く違和感ないですね!


最後は洋風で仕上げて(?)いきましょう。
加西名物のトマトを使ったラビオリです。
美味しくて甘い加西のトマトピューレを使い、隠し味でお醤油を使いました。パスタのトマトソースに醤油は「え」となる方も多いかしれませんが、わり味をまとめてコクを出してくれるのでおすすめです。
塩っ辛くならない程度ちょびっと使うと味わいが締まるんですよね。
こちらの醤油でもやってみましたが、とても美味しかったです。
今回の地しょうゆを使うに当たっては、地しょうゆという名に沿って加西市の名産品を使って醤油を使用させて頂きました。
その土地に行かなくともその土地の味わいを楽しめるというのは、料理の良いところで、全く同じとはいかなくともその土地に根付く、その味わいから風土を想像する時間はとても幸せな時間です。
のどかで豊かな地域で作られた醤油は程よい優しさでとても穏やかな気持になる醤油でした。

高橋醤油さんでは、地元産の材料(大豆、小麦、食塩、本みりん)で、昔ながらの木桶で作る古式三年しょうゆや創業から変わらない伝統の濃口醤油など、いろいろ種類がありますので、北播磨に行った際には購入してみると良いかもしれません。
ちなみにですが、高橋醤油さんの休業日は毎週火曜日です。
火曜日にいかれる方は店頭の醤油自販機を使用しましょう。
※写真のサイズは200ml瓶です。おいしく頂きました。
地しょうゆ北播磨【百周年記念醤油】 |
品 名 : こいくちしょうゆ(混合) |
ブランド : サクライズミ |
製造者 : 高橋醤油 |
カテゴリ : 濃口醤油 |
発酵熟成 : - |
仕 込 : - |
原 料 : アミノ酸液(国内製造)、食塩、脱脂加工大豆(遺伝子組み換えでない)、小麦、米発酵調味料、砂糖/調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、甘味料(ステビア、甘草、サッカリンNa)、保存料(パラオキシ安息香酸)、V.B₁、アルコール |
塩分濃度 : - |
ホームページ : https://www.sakuraizumi.com/ |
購入場所 : 市場株式会社様から頂きました。 |
作ったもの : 刺身、魚料理、煮物など |